要介護3なら月27,048円が目安。上限を超えた分は全額自己負担で、高額介護サービス費の対象になりません

住宅街を流れる細い川を、橋の上から見た水彩画 お金と制度
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申請方法のほかに、気になるのは「月にいくらかかるのか」ではないでしょうか。

先に目安をお伝えします。要介護3の親が、自宅で暮らしながら介護保険のサービスを上限いっぱい使うと、1割負担で月27,048円になります(1単位10円の地域の場合)。上限を超えて使うと、その分は全額自己負担になります。いっぽうで、上限の中で払った1割の負担が一定の額を超えた月や、医療費と介護費が重なった年には、あとから支給を受けられる仕組みがあります。

今回は、3回に分けて書いている連載の2回目です。1回目は、申請の手続きと待ち時間について書きました(要介護認定は、申請から結果まで平均39.9日。待つあいだも、申請した日にさかのぼって使えます)。3回目は、介護保険の対象にならない費用について触れたいと思います。数字は2026年9月時点のものです。

1か月に使える介護サービスの量には上限があり、払うのは原則その1割になります

自宅で暮らしながら使うサービスには、要介護度ごとに1か月の上限があります。区分支給限度基準額といい、金額ではなく「単位」で決まります(医療でいう「点数」と同じような数え方です)。1単位は原則10円ですが、人件費の地域差を反映させるため、地域とサービスの種類によって10円から11.40円まで変わります。

要介護度1か月の上限(単位)金額(1単位10円の地域)
要支援15,032単位50,320円
要支援210,531単位105,310円
要介護116,765単位167,650円
要介護219,705単位197,050円
要介護327,048単位270,480円
要介護430,938単位309,380円
要介護536,217単位362,170円

この額はサービスの値段の合計で、払うのは原則その1割です。要介護3で上限いっぱい使ったなら27,048円、要介護5なら36,217円。これが、月々の自己負担の目安になります。

要介護3の方が31万円分のサービスを使った月の例。上限までの270,480円は1割の27,048円、上限を超えた39,520円は全額自己負担で、合わせて66,568円。高額介護サービス費の計算に入るのは27,048円の方

上限を超えた分は全額自己負担になり、高額介護サービス費の対象にもなりません

たとえば、要介護3の方が31万円分使うと、上限までの270,480円は1割の27,048円、超えた39,520円はそのまま39,520円。合わせて66,568円になります。上限を超えた分は1割ではなく10割になるので、負担が大きく増えます。

しかも、この39,520円は、このあと書く高額介護サービス費の対象になりません。 上限を超えた分は、介護保険を使わずに全額を払った扱いになるからです。高額介護サービス費は、介護保険を使って払った1割(または2割・3割)の負担が大きくなりすぎないようにする仕組みです。そのため、介護保険を使っていない分は、高額介護サービス費の計算に入りません。66,568円払った月でも、計算に入るのは1割の27,048円の方になります。また、施設の食費・居住費も、もともと介護保険の対象ではないので、高額介護サービス費の対象になりません。

上限の手前で止めるか、超えて使うかは、ケアマネジャーと相談して決めることができます。 ショートステイの日を翌月に回すなど、予定の組み方で上限の中に収められることもあります。

1か月の1割負担の合計が上限を超えたら、高額介護サービス費を受け取れます

ひと月の自己負担の合計が所得ごとの上限を超えたら、超えた分があとから支給されます。

対象の方ひと月の上限
生活保護を受給している方など15,000円(個人)
世帯の全員が住民税非課税で、年金等の収入とその他の合計所得の合計が82万6,500円以下の方24,600円(世帯)/15,000円(個人)
世帯の全員が住民税非課税で、上の2つ以外の方24,600円(世帯)
住民税が課税されている世帯で、課税所得380万円(年収約770万円)未満の方44,400円(世帯)
課税所得380万円以上690万円(年収約1,160万円)未満の方93,000円(世帯)
課税所得690万円以上の方140,100円(世帯)

住民税がかかっている世帯の多くは、上限が44,400円です。上限が93,000円や140,100円になるのは、同じ世帯の65歳以上の方に、課税所得が380万円以上の方がいる場合です。

最初の例の27,048円は、44,400円に届かないので支給はありません。夫婦2人とも介護サービスを使っているなど、世帯の合計が大きくなったときに役に立つ仕組みです。

高額介護サービス費を受け取るには、市区町村への申請をする必要があります。初めて上限を超えた方には市区町村から申請書が届き、申請すると、サービスを使った月からおおむね3か月後に口座へ振り込まれます。2回目からは、自動振り込みの対応を行っている市区町村もあります。初めて振り込まれたときに、次回以降の手続きを確かめておいてください。

医療費も重なった年は、1年分を合算することができます

親の医療費と介護費が同じ年に重なったとき、2つを足して上限をかける仕組みがあります。高額医療・高額介護合算療養費です。数える期間は、毎年8月1日から翌年7月31日までです。

これは、高額療養費に2026年8月からできた年間上限とまったく同じ数え方です(高額療養費に年間上限ができましたに書きました)。

医療と介護は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年分を合算することができる。親の医療費と介護費の自己負担の1年分の合計が上限を500円以上超えたとき、医療保険者への申請で超えた分が支給される

1年の合計が上限を500円以上超えたときは、医療保険者への申請で、超えた分が支給されます。年齢と所得により、上限額が設定されています。

所得の区分(70歳未満の方・会社の健康保険の場合)1年の上限
標準報酬月額83万円以上212万円
標準報酬月額53万〜83万円未満141万円
標準報酬月額28万〜53万円未満67万円
標準報酬月額28万円未満60万円
市町村民税非課税34万円

70歳以上の方には、これとは別の上限が設定されています。所得の多い方(現役並みの所得がある方)は所得に応じて212万円・141万円・67万円、一般の方は56万円、市町村民税非課税の方は31万円、世帯の全員が非課税で所得がない方は19万円です。この額は、令和8年8月の改正でも変わっていません。

合算するのは「同じ医療保険の世帯内」です。 親が後期高齢者医療、自分は会社の健康保険という組み合わせでは、同じ家に住んでいても合算されません。誰と誰が合算されるかは、親が入っている医療保険の窓口で確かめてください。後期高齢者医療制度なら、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口です。

1割が2割・3割になるのは、所得の多い65歳以上の方です

判定されるのは65歳以上の方で、40歳から64歳までの方は所得にかかわらず一律1割です。

年金やその他の所得が多い方は、2割または3割負担になります。

負担割合は、「介護保険負担割合証」で確認することができます。毎年7月ごろに届き、有効期間は8月1日から翌年7月31日までです。

負担割合は、毎年8月に見直されます。 前の年の所得で判定し直されるので、土地や建物を売った翌年などに、1割が2割・3割に上がることがあります。くわしくは1回目の記事をご覧ください。

次の回は、介護保険の対象にならない費用(食費・部屋代・住宅改修)について触れたいと思います。

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