育休の手取りが10割になる条件は、夫婦がともに14日以上。上乗せは28日分です

石造りの倉庫が並ぶ運河と遊歩道を描いた水彩画 お金と制度
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子どもが生まれて仕事を休むあいだ、お金はどうなるのか。ここは2025年4月に大きく変わりました。

育児休業中に受け取れるお金は、休む前の賃金の67%でした。それが、条件を満たすと80%になります。厚生労働省は、これを「手取り10割相当」と説明しています。休んでいるあいだは社会保険料も所得税もかからないので、額面の80%が、働いていたときの手取りとほぼ同じ額になる、という考え方です。

条件は2つあります。子の出生後8週間以内(産後休業を取る方は16週間以内)であること。そして、原則として夫婦がともに14日以上の育児休業を取ることです。上乗せされるのは、最大28日分です。

夫婦がともに14日以上の育児休業で、育児休業給付金67%に13%が上乗せされ、上乗せは最大28日分。月30万円の方なら1か月201,000円に28日分36,400円が加わることを示した図

※この記事は2026年9月時点の情報です。

育児休業給付金は、休む前の賃金の67%。180日を過ぎると50%になります

土台は、雇用保険から出る育児休業給付金です。支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」(育児休業開始から181日目以降は50%)になります。

休業開始時賃金日額は、育児休業に入る前の6か月(賃金支払基礎日数が11日以上ある月で数えます)の賃金の総額を180で割った額です。残業代や通勤手当・住宅手当も入りますが、年3回以下のボーナスは入りません(雇用保険法第17条第1項)。月に30万円の方なら1日1万円。支給日数は原則30日なので、1万円×30日×67%=201,000円です。

67%で受けられる180日には、産後パパ育休を取った日数も通算されます。

受けるには、休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12か月以上必要です。

67%でも、社会保険料の免除で差は小さくなります

標準報酬月額30万円の方(大阪府の協会けんぽ・40歳未満)なら、健康保険料15,540円・厚生年金保険料27,450円・雇用保険料1,500円の44,490円が毎月引かれ、残るのは255,510円(所得税・住民税を引く前)です。

ところが育児休業中は、社会保険料が免除されるため、この44,490円がゼロになります(健康保険法第159条・厚生年金保険法第81条の2)。免除は本人負担分と会社負担分の両方で、納めたものとして扱われ、将来の年金額に影響はありません。

雇用保険料も、賃金がゼロならかかりません。給付そのものも非課税です(雇用保険法第12条の公課の禁止を準用)。

つまり育児休業給付金の201,000円は、引かれずにそのまま入ります。社会保険料を引いた額どうしで比べると、働いていたときの255,510円のおよそ79%です。ただし、この比べに税は入れていません。住民税は育児休業中も納めます。

この免除は病気やけがによる休職にはありません。そちらは休職中の社会保険料は会社が立て替えます。復職した月の給与が、ほとんど残らないことがありますにまとめました。

月30万円の方の1か月の明細。働いているときは社会保険料44,490円を引いて255,510円、育児休業中は給付金201,000円から社会保険料が引かれず、社会保険料を引いた額どうしで比べるとおよそ79%になることを示した図

2025年4月から、13%が上乗せされています。条件は、夫婦がともに14日以上

2025年4月に始まった出生後休業支援給付金です。上乗せは13%。育児休業給付金の67%と合わせて80%になります。

出生後休業支援給付金の支給額 = 休業開始時賃金日額×対象期間内の被保険者の休業期間の日数(28日が上限)×13%

厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版)16頁

賃金日額は、育児休業給付金と同じものです。1日1万円の方なら、1万円×28日×13%=36,400円が上乗せになります。

ご本人が対象期間内に14日以上の育児休業を取ること。 対象期間は、産後休業を取らない方(父親など)なら子の出生日と出産予定日のうち早い日から、遅いほうの日の8週間後まで。産後休業を取る方(母親)なら16週間です。

配偶者も、同じ8週間の中で14日以上の育児休業を取ること。 ただし、配偶者が産後休業中(会社員の母親が出産した場合は、これに当たります)・無業・自営業などの7つの場合は、配偶者の育児休業は必要ありません。

上限があります。賃金の高い方は、「手取り10割相当」にはなりません

休業開始時賃金日額の上限額は16,540円です(2027年7月31日までの額。毎年8月1日に改定されます)。

月の賃金がおよそ50万円(日額16,540円の30日分=496,200円)を超える方は、超えた分が給付の計算に入りません

給付支給日数支給上限額
育児休業給付金(67%)30日332,454円
育児休業給付金(50%)30日248,100円
出生後休業支援給付金(13%)28日60,205円

お金が入る順番

いつ何がどこからいくら
出産のとき出産育児一時金健康保険1児につき50万円(条件により48.8万円)
産前42日〜産後56日出産手当金健康保険標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2
産後休業のあと〜180日育児休業給付金雇用保険賃金日額の67%
そのうち最大28日出生後休業支援給付金雇用保険賃金日額の13%
181日目〜1歳(延長で最長2歳)育児休業給付金雇用保険賃金日額の50%

出産そのものは健康保険がききませんが、帝王切開など保険がきく医療は高額療養費の対象です。上限は高額療養費に年間上限ができました。8月から翌年7月で数えて、53万円で止まりますに書きました。

育児時短就業給付金は、時短勤務中の賃金に10%です

2歳未満の子を育てるために所定労働時間を短くして働くとき、各月に支払われた賃金額の10%が支給されます。ただし、この給付金は賃金が下がらないと出ません。時短前の賃金と比べて9割以下になった月は10%が満額で出ますが、9割を超えて10割未満の月は支給率が下がり、10割以上の月は支給されません

住民税は、育児休業中も免除されません

社会保険料が免除されても、住民税の納付は続きます。前年の所得にかかる税(地方税法第32条第1項)だからです。「手取り10割相当」という説明は、この住民税を計算に入れていません。納めるのが難しいときの徴収猶予(1年以内・分割も可)は休職中の住民税が払えないときは、1年待ってもらえます。出ていくお金を減らす5つの申請に書きました。

2025年に、育児・介護休業法も変わりました

2025年4月1日から、子の看護等休暇の対象が小学校3年生の修了まで、残業免除の対象が小学校就学の始期に達するまでの子を育てる方に広がりました。2025年10月1日からは、3歳から就学前の子を育てる方に、始業時刻の変更・テレワーク・短時間勤務など5つのうち2つ以上を用意することが事業主の義務になりました(育児・介護休業法第23条の3第1項)。働く方は、その中から1つを選んで使えます。中小企業も対象です。

まとめ

  • 育児休業給付金は180日まで67%、181日目からは50%社会保険料が免除されるので、67%のあいだは、社会保険料を引いた額どうしで比べると働いていたときのおよそ79%になる計算です(税は入れていません)
  • 2025年4月からの出生後休業支援給付金で13%が上乗せされ、あわせて80%。厚生労働省は「手取り10割相当」と説明しています
  • 条件は、子の出生後8週間以内(産後休業を取る方は16週間以内)に、夫婦がともに14日以上。上乗せは最大28日分です
  • 賃金日額の上限は16,540円(月およそ50万円)。住民税は免除されません

子が生まれると、次に気になるのは教育費です。その置き場所は、こどもNISAは2027年1月から。月5万円まで、引き出せるのは12歳からにまとめました。

ご自身の額と手続きは、勤務先の担当部署とハローワークにご相談ください。

この記事で確認したこと(出どころ)

  • 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版)… 育児休業給付金・出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金の支給要件、給付率、支給日数、上限額、配偶者の育児休業を要件としない7つの場合 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf
  • 厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日時点版)… 育児時短就業給付金の10%、支給限度額484,121円、支給対象月の要件 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001395102.pdf
  • 厚生労働省「出生後休業支援給付の簡易診断(要件確認)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/syussyougo_kanishindan_00001.html
  • 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」… 一般の事業の労働者負担 1,000分の5 https://www.mhlw.go.jp/content/001692566.pdf
  • 厚生労働省「育児休業制度特設サイト|法改正のポイント」… 2025年4月1日・10月1日施行の内容 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/law-amendment/
  • 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業等を取得・延長したときの手続き」… 免除の範囲・期間、同月14日以上、賞与の1か月超の要件 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/20140327-05.html
  • 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」… 免除期間は、将来の年金額を計算する際は保険料を納めた期間として扱われる https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html
  • 全国健康保険協会「出産手当金」… 産前42日・産後56日、支給額の計算 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/childbirth/001/index.html
  • 全国健康保険協会「出産育児一時金」… 1児につき50万円・48.8万円 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/childbirth/002/index.html
  • 全国健康保険協会 大阪支部「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」… 健康保険料率10.13%、子ども・子育て支援金率0.23%、厚生年金保険料率18.3% https://www.kyoukaikenpo.or.jp/assets/R8_27osaka.pdf
  • e-Gov法令検索 厚生年金保険法 第81条の2(育児休業期間中の保険料の徴収の特例) https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115
  • e-Gov法令検索 雇用保険法 第12条(公課の禁止)・第61条の6第5項(育児休業等給付への準用) https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
  • e-Gov法令検索 地方税法 第32条第1項(所得割の課税標準) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226

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