労災なら8割、傷病手当金なら3分の2。月給30万円で30日休むと、受け取る額はおよそ4万9千円違います

高台から見おろした、畑の向こうに海と島々が広がる町を描いた水彩画 お金と制度
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けがや病気で仕事を休むとき、生活を支えるお金には、健康保険の傷病手当金と、労災保険の休業(補償)等給付があります。

この記事では、どちらの制度になるのか、1日あたりいくら受け取れるのか、最初の3日間とその後の期間がどう違うのかを、月給30万円の例で書きたいと思います。情報は2026年9月時点のものです。

労災保険と傷病手当金を、原因・1日あたりの額・請求先で見比べた図

仕事や通勤が原因なら労災保険、それ以外なら健康保険の傷病手当金です

労災保険(労働者災害補償保険)は、仕事が原因のけがや病気(業務災害)と、通勤が原因のもの(通勤災害)を対象にした保険です(労働者災害補償保険法第7条)。傷病手当金は、仕事や通勤以外が原因のけがや病気で休むときの給付になります。

同じけがや病気について労災保険から給付を受けることができるときは、健康保険から傷病手当金は支給されません(健康保険法第55条第1項)。二重で受け取ることはできません。

1日あたりの額は、労災が給付基礎日額の8割、傷病手当金が3分の2です

労災では、休んだ4日目から、休業(補償)等給付として給付基礎日額の60%、休業特別支給金として20%、合わせて80%が支給されます(厚生労働省)。給付基礎日額は、原則として、けがをした日の直前の賃金締切日からさかのぼる3か月間の賃金の総額を、その期間の暦日数で割った額で、ボーナスは含みません(厚生労働省)。労災保険の指定医療機関などでは、無料で治療を受けることができます(厚生労働省)。

傷病手当金は、連続する3日間の待期のあと、4日目から支給されます。1日あたりの額は、直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2になります(健康保険法第99条、協会けんぽ)。

月給30万円で30日休むと、受け取る額はおよそ4万9千円違います

たとえば、月給30万円の会社員が、10月に30日続けて休んだとします(仮定の金額です。直前3か月は7月から9月の92日、標準報酬月額は30万円とし、ボーナスは除きます)。

仕事中のけがで、労災保険の場合

  • 給付基礎日額:90万円÷92日=9,783円(1円未満は切り上げ)
  • 4日目からの1日あたり:休業(補償)等給付5,869円+休業特別支給金1,956円=7,825円
  • 4日目から30日目までの27日分:7,825円×27日=211,275円
  • 最初の3日分:会社から平均賃金の60%で、およそ17,600円
  • 合計:およそ22万9千円

仕事以外のけがで、傷病手当金の場合

  • 1日あたり:30万円÷30=1万円、その3分の2で6,667円
  • 4日目から30日目までの27日分:6,667円×27日=180,009円
  • 最初の3日分(待期):傷病手当金は支給されません
  • 合計:180,009円

労災は実際に支払われた賃金をもとに、傷病手当金は給与を等級に当てはめた標準報酬月額をもとに計算するので、実際の額は人によって変わります。

最初の3日間を誰が払うかは、業務災害と通勤災害で違います

業務災害なら、休業の初日から3日目までは、会社が平均賃金の60%の休業補償を行うことになっています(労働基準法第76条第1項)。厚生労働省は、この3日分は会社に請求するよう案内しています。

通勤災害の場合は、この3日間について、会社の補償責任の法令上の規定はありません(厚生労働省)。傷病手当金の待期3日間も、有給休暇や土日・祝日を含めて数えますが、この3日間に傷病手当金は支給されません(協会けんぽ)。

傷病手当金は通算1年6か月まで、労災の休業(補償)等給付は治ゆ(症状固定)まで続きます

傷病手当金は、支給を始めた日から通算して1年6か月で終わります(健康保険法第99条第4項)。労災の休業(補償)等給付は、療養のため働くことができず、賃金を受けていない間は支給されます(厚生労働省)。

労災で療養を始めてから1年6か月たっても治っておらず、障害の程度が傷病等級(第1級から第3級)に当たるときは、休業(補償)等給付に代わって傷病(補償)等年金が支給されます(労働者災害補償保険法第12条の8・第18条、厚生労働省)。傷病手当金が終わったあとの障害年金については、傷病手当金と障害年金。病気で働けなくなったとき、「1年6か月」は2回ありますをご覧ください。

休み始めてからの最初の3日間、4日目からの給付、いつまで続くかを2つの制度で比べた図

労災になるかどうかを決めるのは、会社ではなく労働基準監督署です

労災保険の給付は、本人が労働基準監督署に請求し、労働基準監督署長が支給するかどうかを決めます。厚生労働省は「労災として認められるかどうかは事業主が決めるわけではありません」としています。会社が請求書の証明を拒んだ場合でも、請求することはできます(厚生労働省)。

会社を辞めても、労災の給付を受ける権利は変わりません(労働者災害補償保険法第12条の5第1項)。ただし、休業(補償)等給付は、賃金を受けない日ごとに、その翌日から2年で時効になります(同法第42条、厚生労働省)。

健康保険を使ったあとで労災と分かったら、まず病院に切り替えを確かめます

仕事のけがで健康保険を使って受診していた場合、厚生労働省の案内では、まず受診した病院に労災保険への切り替えができるかを確かめます。できないときは、加入している協会けんぽや健康保険組合に労働災害だったことを報告し、届いた納付書で医療費を返したうえで、労災保険に請求します。返納が終わる前でも、労災保険に請求することはできます。

傷病手当金も、受け取ったあとで同じけがや病気に労災の休業(補償)等給付が支給されると、健康保険からは支給しないものになるため(健康保険法第55条第1項)、返すことになります。

仕事や通勤が原因かもしれないときは、まず労働基準監督署に相談してみてください

労災になるかどうかは、けがや病気の起きた状況によって変わります。仕事や通勤が原因かもしれないと思ったら、傷病手当金を申請する前に、お勤め先を所轄する労働基準監督署に相談してみてください。傷病手当金の申請や返納については、加入している協会けんぽや健康保険組合が窓口になります。

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