FP1級を目指そうと調べ始めた方が、必ず一度は手を止めるところがあります。学科試験の合格率です。
金融財政事情研究会(きんざい)が実施した2026年5月の1級学科試験は、受検者3,488名に対して合格者433名。合格率12.41%でした。10人受けて1人ちょっとです。
私はこの学科試験を、受けていません。受けずに1級FP技能士になりました。遠回りに見えて、私にとっては確実な道のりであった話をしたいと思います。
学科を受けなくてよくなる条件があります
1級FP技能検定の実技試験には、いくつかの受検資格が認められています。その1つが、
CFP®資格審査試験 全6課目合格者
です。つまり、CFP®の試験に6課目すべて合格すると、1級の学科試験を受けなくても、実技試験だけで1級FP技能士になれます。
私が選んだのはこの道でした。AFP認定を受けたあと、CFP®の6課目を一度にまとめて受け、6課目すべてに合格しました。そのうえで、日本FP協会の1級実技試験(資産設計提案業務)を受けました。同じ団体が作る試験ということもあり、CFP®を通ったあとでは驚くほど素直な試験に感じました。
なぜ、遠回りを選んだのか
理由は単純です。一発で受からなかったときに、心が折れると思ったからです。
きんざいの1級学科は年3回。落ちれば次は数か月先です。しかも範囲が広く、対策の時間もまとまって要ります。働きながら受けるには、「落ちたら4か月待つ」という賭けが重すぎました。
そもそも、きんざいの1級学科を受けるには、2級の合格に加えてFP業務の実務経験が1年以上要ります(実務経験5年以上でも受けられます)。迂回ルートの1級実技には、この要件がありません。
その点、CFP®は6課目を分けて受けられます。年2回、1課目からでも出願できます。1課目ずつ合格を積み上げていけるので、途中でつまずいても、それまでの合格が消えません。結果として私は6課目を一度に合格しましたが、「落ちても積み上がる」と分かっていたから挑めたというのが本当のところです。
そもそも1級を目指した動機も、そんなに立派なものではありません。「何級を持っているの?」と聞かれたときに「2級です」ではなく「1級です」と答えたかった。どうせやるなら一番上まで行きたかった。それだけです。
迂回ルートの、全体の流れ
- 3級FP技能検定に合格する(ここは独学で十分です。→ FP3級は独学で受かります)
- 2級FP技能検定に合格する
- AFP認定研修を修了して、AFPとして登録する
- CFP®資格審査試験の6課目すべてに合格する
- 1級実技試験を受ける(きんざい・日本FP協会のどちらでもかまいません)

CFP®を受けるにはAFPの認定が要るので、3の登録は避けて通れません。日本FP協会の会員になる、という手続きです。
なお、2級に合格していれば、AFP認定研修は課題(提案書)を提出する形の短いもので済みます。研修を先に修了しておけば3級を飛ばして2級から受けることもできますが、急がないほうが結局は早いというのが私の考えです。
免除には、期限があります
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
1級実技の受検資格には「CFP®資格審査試験の全課目に合格したが認定されていない者」という項目があり、全6課目合格となった試験の合格日の翌々年度末まで有効とされています。6課目そろってから、翌々年度の3月末までということです。
そして実技試験は、どちらの団体のものを受けてもかまいません。きんざいの1級実技試験(資産相談業務)は年3回・受検手数料28,000円、日本FP協会の1級実技試験(資産設計提案業務)は毎年9月の年1回・20,000円です(2026年度は9月13日)。どちらに合格しても、同じ1級FP技能士です。
つまり、6課目そろえてから期限までに、実技を受ける機会は年4回(きんざい3回+日本FP協会1回)です。期間は2年半ほどですから、回数そのものには余裕があります。それでも「CFPを取っておいて、いつか気が向いたら1級を」と考えていると、権利のほうが先に切れます。6課目目に合格したら、その年度内に実技の予定を立てておくくらいのつもりでちょうどよいと思います。
なお、この期限が付くのは「合格したがCFP®の認定を受けていない方」です。6課目の合格のあと、エントリー研修を受けてFP業務の実務経験3年を満たし、CFP®認定を受けると、この期限はなくなります。認定を受けている間は、1級実技をいつでも受けられます。
なお、この期限は迂回ルートだけの話ではありません。きんざいの学科に合格して直行する場合も、2026年度の実技を受けられるのは2024年度以降の学科合格者、というように翌々年度末までという同じ決まりがあります。学科に受かってから間を空けると、そちらも権利が切れます。
お金は、たしかに余計にかかります
迂回ルートは、費用でいえば明らかに高くつきます。
| かかるもの | 金額 |
|---|---|
| AFP登録(入会金) | 10,000円 |
| 日本FP協会の年会費 | 12,000円(毎年) |
| AFP認定研修 | 提供会社によって幅があります |
| CFP®資格審査試験 6課目 | 23,100円(6課目まとめて出願した場合) |
学科の免除にたどりつくまでで、合計45,100円(AFP認定研修の受講料は別)。そのあとの1級実技試験は、どちらのルートでも同じようにかかります(きんざい28,000円/日本FP協会20,000円)。いっぽう、きんざいの1級学科は8,900円です。一度で受かる自信があるなら、そちらのほうが圧倒的に安いことは間違いありません。

それでも私がこの道を選んだのは、「落ちて時間を失うこと」のほうが、お金より高くつくと考えたからです。ここは人によって答えが変わるところだと思います。
向いている人・向いていない人
迂回ルートが向いている方
- 働きながら、まとまった勉強時間を確保しにくい方
- 一発勝負が苦手な方。分割して積み上げるほうが続く方
- CFP®の肩書きも欲しい方(国際的に通用する資格で、名刺に書けます)
- FPを仕事にしていく可能性がある方(日本FP協会とのつながりができます)
向いていない方
- とにかく費用を抑えたい方
- 短期間で集中して仕上げるのが得意な方
- 資格の維持費(年会費と継続教育)を払い続けたくない方
最後の点は補足が要ります。AFP・CFP®は、取って終わりではありません。資格を保つには年会費と、決められた継続教育の単位が要ります。1級FP技能士は国家資格なので、こうした更新がありません。「取ったあと放っておきたい」方には、この違いは小さくありません。
2級までで、暮らしは十分に変わります
ここまで1級の話をしてきましたが、実際のところを書きます。暮らしの役に立ったのは、2級までの内容がほとんどです。
勉強してみて、こんな変化がありました。
- 人生を送るうえで必要な、社会の仕組みが分かるようになった
- 自分でライフプランニング表を作れるようになった
- 政治や経済のニュースで言っていることが、だいたい理解できるようになった
3級から2級までは、お金の知識が「増える」というより、世の中の見え方が変わる感覚に近いものでした。2級の実技では時間が足りず、一部を空欄のまま提出して肝を冷やしましたが、無事に合格できました。
2級までは、周りの方に自信を持って勧められる資格だと思っています。
知ってしまったこともあります
一方で、勉強したことで気づいてしまったこともあります。
所得制限などにより、社会保障の仕組みでは自分は救われない場面が多い。
手当や給付の多くには所得による制限があり、その条件から外れると、制度があっても届きません。知らなければ気にならなかったことですが、知ってしまうと、自分でどうにかするしかないと分かります。このことは、私が働き方を変える決断のきっかけの1つにもなりました。
もっとも、これは悲観ではありません。制度の形が分かれば、使えるものは使えるようになります。たとえば医療費の自己負担には上限があり、2026年8月からは年間の上限もできました。こういうことを知っているかどうかが、いざというときに選べるものを分けます。
さいごに
まとめると、こうなります。
- 1級FP技能士は、きんざいの学科(合格率12%台)を通らなくても取れる
- CFP®の6課目に合格すれば学科が免除され、実技だけで1級になれる
- ただし免除には期限がある(6課目そろった日の翌々年度末まで)
- 費用は明らかに高くつく。それでも分割して進められる安心を買う価値はある
- そして、暮らしの役に立つのは2級までで十分
どのルートを選ぶにしても、最初に受けるのは3級です。まずはそこから始めてみませんか。
2級まで進むつもりなら、教科書は最初から2級のものを選ぶのが結局は近道です。
3級から始める方の手順は、FP3級は独学で受かりますにまとめました。
CFP®の認定に要る実務経験3年を私がどう満たしたのかは、CFPの実務経験3年は、金融の仕事でなくても条件を満たせますに書いています。


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