ふるさと納税の締切は12月31日。上限はあなたの住民税で決まります

お金と制度
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ふるさと納税で住民税の控除を受けた人は、直近の集計で約1,151万人。自治体が1年に受け入れた金額は約1兆3,314億円です(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」2026年7月公表)。それでも初めての方からいちばん出てくるのは、「結局、何がどうなる制度なのか」という質問です。

この記事では、返礼品の選び方ではなく、初めての人が必ずつまずく2つだけを書きます。年の区切りが12月31日であること。控除には上限があり、その上限は自分の住民税で決まること。

ここを外すと、「お得なはずが、思ったより戻ってこなかった」が起こります。

※数字と制度は2026年8月時点で、総務省・国税庁・法令の原文にあたって確認しました。

名前は「納税」ですが、中身は「寄附」です

総務省のサイトには、こうあります。

「納税」という言葉がついているふるさと納税。実際には、都道府県、市区町村への「寄附」です。

やっているのは、自分で選んだ自治体への寄附です。納め先を変えているわけではありません。そのうえで、寄附額のうち2,000円を超える部分が、所得税と住民税から原則として全額控除されます。だから「実質2,000円の負担」と言われます。

大事なのは、控除が3本立てだということです。総務省の計算例(年収700万円・夫婦で子どもなし・3万円を寄附)では、こうなります。

  • 所得税から … 5,600円
  • 住民税から(基本分)… 2,800円
  • 住民税から(特例分)… 19,600円
  • 合計 28,000円(=30,000円 − 2,000円)
「実質2,000円」の中身は、3本立てです

3本目の「住民税の特例分」がいちばん大きい。ふるさと納税の中心は、翌年度の住民税が安くなることです。そして上限がかかるのも、この3本目です。

では、なぜ3本目だけ「特例」なのでしょうか。ふつうの寄附金控除は、①と②までです。それだけでは、2,000円を超える部分の一部しか戻ってきません。そこで、①と②で控除しきれなかった残りを、住民税からまるごと差し引くしくみを上乗せしました。これが特例分です。総務省の資料も「①、②により控除できなかった額を、③により全額控除」と説明しています。

結果として、住所地に納めるはずだった住民税が、寄附先の自治体へ移ったのと同じことになります。総務省が「住所地へ納税する住民税を実質的に移転する効果がある仕組み」と書いているのは、この意味です。

区切りは12月31日。年をまたぐと、別の年の話になります

寄附はいつでもできます。ただし税の軽減は1月〜12月の年単位です。総務省のよくある質問には、こうあります。

税の軽減については、「1月〜12月」の年単位となります

国税庁も、寄附金控除の対象を「その年に支出した特定寄附金」と定義しています。

つまり、12月31日で1年が締め切られます。年が明けたら、そこから先は翌年の枠です。12月に申し込みが集中するのは、1年の収入が見えてから寄附したい人が多いからでしょう。

12月31日で、1年が締め切られます

ただし、「年内の寄附」として扱われる締切日は、自治体や支払い方法によって違います。総務省は申込・納付の方法について「各自治体によって異なります」としか書いておらず、共通の締切日は示していません。12月に動く場合は、寄附先の案内で年内扱いの締切を必ず確認してください。

もうひとつ。自己負担の2,000円は、寄附1件ごとではありません。

自己負担となる2,000円は、1回ごとの寄附について必要となるものではなく、1年間(1月〜12月)の寄附金総額に対して必要となるもの

1万円を5か所に寄附しても、自己負担は合計2,000円です。

上限は「あなたの住民税」で決まります

いくら寄附しても2,000円で済む、わけではありません。上限を超えた分は、ただの寄附になります。

言葉を正確にしておきます。寄附そのものに上限はありません。いくらでも寄附できます。上限があるのは控除のほうです。総務省も「受けられる寄附金控除の額には上限があり」と書いています。この記事でこれから「上限」と呼ぶのは、自己負担が2,000円で収まる寄附額の上限のことです。

上限の正体は、さきほどの「住民税の特例分」です。

住民税からの控除(特例分)=(住民税所得割額)×20%

特例分が住民税の所得割額の2割に達すると、そこで頭打ちです。その先どうなるかも、はっきり書かれています。

3つの控除を合計しても(ふるさと納税額−2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。

住民税の所得割額(住民税のうち、所得に応じて決まる部分)は、その年の所得で決まります。ということは、上限もその年の所得で決まる。去年と同じ額を前提にはできません。

総務省も、上限額は「お住まいの市区町村の住民税を担当する部署にお問い合わせください」と案内しています。ポータルサイトのシミュレーションは目安です。医療費控除や副業の有無で結果は変わります。

その年に休んだ人は、上限が下がっています

ここからは、産業医としても働いている立場から、いちばん伝えたいことを書きます。

その年に病気やけがで休職した方、産休・育休を取った方は、去年と同じ感覚で寄附すると、自己負担が2,000円では済みません。

理由は、休んでいる間に受け取るお金の性質にあります。

  • 傷病手当金・出産手当金は、健康保険法第62条で「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない」と定められています
  • 育児休業給付も、雇用保険法の「公課の禁止」の条文が準用され、同じく課税されません

生活を支える大事なお金ですが、税制の上では所得として数えられません。すると、こうなります。

  1. 休んだ期間は給与が止まり、代わりに非課税の給付を受ける
  2. その年の課税される所得が減る
  3. 翌年度の住民税の所得割額が下がる
  4. ふるさと納税の上限が下がる
その年に休むと、上限は下がります

復職した年も同じです。3月まで休職して4月に復職した年は、給与が入っているのは9か月分。その分だけ課税される所得が減り、翌年度の住民税の所得割が下がり、ふるさと納税の上限も下がります。12月に「今年も去年と同じくらい」と考えて寄附すると、上限を超えた分が、そのまま自己負担になります。

休職中のお金の流れは休職中も引かれ続けるお金の話に、退職した年の考え方は任意継続と国保のどちらが安いかにまとめました。休職も産休育休も退職も、その年の税金と翌年の住民税に効いてきます。知らないまま12月を迎えるより、知っていたほうがいい。この記事でいちばん書きたかったのは、この一点です。

手続きは2つに1つ。しないと控除はゼロです

寄附しただけでは、控除は受けられません。道は2つです。

①ワンストップ特例。確定申告をしなくてよい仕組みです。条件は3つ。確定申告の不要な給与所得者等であること。寄附先が5団体以内であること(同じ自治体に何回寄附しても1団体と数えます)。そして、寄附をする際に申請書をその自治体へ出すこと。

これを使うと所得税からの控除は行われず、全額が翌年度の住民税から差し引かれます。還付ではなく、翌年6月からの住民税が安くなる形です。

期限はよく「翌年1月10日まで」と言われます。ただし法律に書かれている1月10日は、住所などが変わったときの変更届出書の期限です(地方税法 附則第7条第4項)。自治体が市町村へ通知を送る期限(翌年1月31日・同第5項)からの逆算で、申請書の締切を1月10日とする自治体が多い、という関係です。実際の締切は寄附先の案内に従ってください。

②確定申告。5団体を超えた方、もともと確定申告をする方はこちらです。寄附をした翌年の3月15日までに、自治体が発行した受領書を添えて申告します。この場合は、所得税の分はその年の所得税から戻り(還付)、住民税の分は翌年度の住民税が安くなる形で戻ります。

注意が1つ。ワンストップ特例を申請していても、医療費控除などで確定申告をすると、その申請はなかったことになります。確定申告書にふるさと納税の分も必ず書いてください。書き忘れると、控除がまるごと消えます。

2025年10月から、ポータルサイトのポイントは付きません

総務省は2024年6月28日に告示を改正し、寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止しました。適用は2025年(令和7年)10月1日からです。

ポイント還元率でサイトを選ぶ時代は終わりました。返礼品には国のルールがあり、返礼割合は寄附額の3割以下その地域の地場産品であること。満たさない自治体は、そもそも対象から外されます。

私自身は、楽天ふるさと納税から申し込んでいます。米は「5kg×12回」の定期便を毎年秋に1件、あとは愛知県西尾市のうなぎ。定期便は上限の枠を1件でまとめて使えるので、寄附先を5団体以内に収めやすいという利点もあります。

寄附の申し込みは楽天ふるさと納税から。私が毎年申し込んでいるのは、この2つです。

まとめ ── 初めての人が押さえる5つ

論点押さえること
年の区切り12月31日で締め切り。年をまたぐと翌年の枠になります
自己負担1年あたり2,000円。寄附1件ごとではありません
上限控除の柱(住民税の特例分)は所得割額の2割が限度。超えた分は自己負担です
休んだ年傷病手当金・出産手当金・育児休業給付は非課税。その年の上限は下がります
手続きワンストップ特例(5団体以内)か、確定申告(翌年3月15日まで)か。どちらもしないと控除はゼロです

ふるさと納税は、手続きを1つ忘れるだけで、ただの寄附になる制度です。裏を返せば、順番どおりに進めれば難しくありません。まずは自分の上限を調べるところから。12月31日は、思っているより早く来ます。

この記事で確認したこと(出どころ)

  • 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税の概要」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/about.html
  • 総務省 同「税金の控除について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
  • 総務省 同「ふるさと納税の流れ」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html
  • 総務省 同「よくある質問」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/faq/
  • 総務省「ふるさと納税制度について」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000254924.pdf
  • 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」 https://www.soumu.go.jp/main_content/001084951.pdf
  • 総務省 報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(令和6年6月28日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000126.html
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1150「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
  • 地方税法 附則第7条/健康保険法 第62条/雇用保険法 第12条・第61条の6第5項(e-Gov法令検索)

※制度と数字は2026年8月時点のものです。控除の上限は一人ひとり違います。実際の金額は、お住まいの市区町村の住民税の担当部署にご確認ください。

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