「NISAを始めたいのですが、何から決めればいいでしょうか」
「2023年までのNISAで買った分が、まだ残っています。あれは、どうなるのでしょう」
この2つは、よく聞かれる質問です。制度は2024年に大きく変わりました。2023年までのNISAと、2024年からのNISAは、いまも別々の箱として動いています。この記事は、その2つの箱の話です。
※制度と数字は2026年9月時点で、金融庁と国税庁の原文にあたって確認しました。
2024年からのNISAで押さえるのは、この4つです
1つめ、利益に税金がかかりません。配当も売却益も非課税です。税金の世界の「所得」に数えられないので、健康保険料の計算にも入りません(新NISAの利益で、保険料は上がりますか)。
2つめ、枠が2階建てになっています。1年に入れられるのは、合わせて360万円。金融庁は「つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍の年間120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍の年間240万円に拡大され、併用により合計で年間360万円まで拡大しました」と説明しています。
3つめ、一生で持てる上限は1,800万円です。「上限は1,800万円ですが、成長投資枠はそのうち1,200万円が上限となります」。この1,800万円は、使った分だけ減る枠です。使わなければ減りません。
4つめ、期限がありません。「非課税保有期間はつみたてNISAでは20年間、一般NISAでは5年間でしたが、2024年からのNISAでは無期限となりました」。売った分の枠も、買ったときの金額の分だけ翌年に戻ります。
2023年までのNISAとは、ここが違います
| 2023年まで | 2024年から | |
|---|---|---|
| 1年の枠 | 一般120万円/つみたて40万円 | 合わせて360万円 |
| 非課税の期間 | 一般5年/つみたて20年 | 無期限 |
| 一生の上限 | なし(期間で区切る) | 1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) |
| 新しく買えるか | 買えない(運用だけ続く) | 買える |
| 1,800万円との関係 | 外枠 | 本体 |
金融庁は「2023年までのNISAでの保有額は、2024年からのNISAの非課税保有限度額(総枠)の1,800万円の外枠で管理されます」と書いています。
「外枠」が、この記事でいちばん大事な言葉です。古いNISAをいくら持っていても、新しい1,800万円は満額使えます。減らされません。
旧NISAの分は、どうすればいいのか
先に結論をお伝えします。あわてて売る理由はありません。することは3つだけです。
1つめ、そのままの形で新NISAへ移すことはできません。金融庁は「2024年以降のNISAへ移管することはできません」と明記しています。以前の制度にあった「ロールオーバー」(翌年の枠へ移して非課税を延ばす仕組み)は、もうありません。
2つめ、買い足しはできません。「2024年以降、つみたてNISAと一般NISAでの新規購入はできなくなり、運用のみが継続となります」。いま持っているものが、そのまま非課税で走り続けている状態です。
3つめ、期限の日が来たら、2つに1つを選びます。「それぞれの非課税期間終了前に売却するか、非課税期間終了後に課税口座に払い出しするか、どちらかを選択する必要があります」。
何も手続きをしなければ、期限が来た分は課税口座へ移ります。国税庁も「特定口座や一般口座に移管することになります」と説明しています。自動で移る先はあっても、それは課税口座で、新NISAではありません。
移管とは、自分で売り買いすることではありません。非課税期間が終わると、手続きをしなくても、証券会社が課税口座へ動かします。この記事で「移管」と書いているのは、すべてこの動きのことです。
つまり、旧NISAでやることは「いつ終わるか」を確認しておくこと、それだけです。
- 一般NISAは5年。2023年に買った分は、2027年末で非課税期間が終わります。いちばん近い期限がこれです
- つみたてNISAは20年。2023年に買った分は2042年末まで。当分、動かす必要はありません
- ジュニアNISAも2023年で新規の買付が終わりました(年80万円・最長5年)。子ども名義の後始末は、2027年に始まるこどもNISAとあわせて別の回に書きます

売らずに課税口座へ移管された場合、そのあとの値上がり分には税金がかかります。ただし、移管されるまでに出ていた利益は非課税のままです。どちらが得かは「そのあと上がるか下がるか」で決まり、それは誰にも分かりません。だから、期限の日を知っておくこと自体が、いちばんの備えになります。
値下がりしているときだけ、気をつけてください
課税口座へ移管されるとき、その日の終値が新しい買値になります。国税庁は「その移管による払出し時に、その日の終値に相当する金額によりその上場株式等を取得したものとみなされます」と説明しています。
やっかいなのは、下がったまま移管されたときです。そこまでの値下がりは「譲渡損失についてはなかったものとみなされます」=税金の世界では、なかったことになります。そのあと元の値段まで戻っただけでも、移管された日からの差額は利益とみなされ、課税されます。NISAで出た損は、ほかの口座の利益と相殺すること(損益通算)も、翌年以降へ繰り越すこともできません。

だから、期限が近づいたときに見るのは1つだけ。いま、買ったときより上がっているか、下がっているか。上がっていれば、移管されても売っても非課税の利益は確定します。下がっているなら、移管されたあとに戻る分にまで税金がかかることだけ、頭に入れておいてください。
道は、もう1つあります。非課税期間が終わる前に売って、新NISAで買い直すこともできます。そうすれば、そのあとの値上がりは新NISAで非課税のままです。旧NISAで出た損は、もともと税金の計算に使えません。売っても、税の面で失うものはありません。
ただし、買い直した分は、新しい1,800万円の枠を使います。枠を使い切る予定の方は、その枠を値下がりした商品に充てることになります。どちらが得かは、新NISAの枠にどれだけ余裕があるかで変わります。

育休や休職で、積立を止めてもかまいません
最後に1つだけ。育休や病気の休職で、積立を下げたり止めたりするのは、ごく普通のことです。
生涯の1,800万円は、使った分だけ減る枠です。止めても減りません。減るのはその年の360万円だけで、それも年が変われば、また新しく360万円が立ち上がります。口座を解約する必要もありません。
お金の面も、ひとこと添えます。育休は社会保険料が免除されますが、病気の休職に免除はありません(休職中の社会保険料は会社が立て替えます)。入ってくるお金も、傷病手当金は給与の3分の2です(傷病手当金と障害年金)。収入は減っても、保険料の支払いは続きます。その月に無理をしないほうが、結局は長く続きます。
まとめ ── この記事の5行
- 2024年からのNISA=年360万円・生涯1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)・期間は無期限
- 2023年までのNISAは1,800万円の外枠。新しい枠は満額使えます
- 旧NISAは新NISAへ移せない・買い足せない。運用だけが続きます
- 旧NISAですることは期限の確認だけ。一般NISAの2023年購入分は、2027年末が最初の期限です
- 積立を止めても、生涯の枠は減りません。休むときは、下げてかまいません
NISAは、続けることが目的の制度ではありません。生活を壊さずに続けられる額へ、そのつど直していける制度です。
この記事で確認したこと(出どころ)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
- 金融庁 同「一般NISA」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/overview/index.html
- 国税庁 タックスアンサーNo.1535「NISA制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm
- 国税庁「NISAに関するQ&A」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/nisa_qa01.pdf

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